TOPへ

権力と真理

 

ある日、泰山は万物に対して一つの問題(天はどのくらい高いのですか。だれかこの問題を答えることができたら、私は山の富を全部その人にあげましょう)を提出しました。

 ニワトリは餌を探していました。彼はミミズを草の中から見つけました。ニワトリはミミズに天はどのくらい高いか尋ねました。ミミズは「天はタンポポぐらい高さだ」と答えました。ニワトリは「違う、麦の穂ぐらいの高さだ」と言いました。ミミズはニワトリから食べられるのを恐れて「間違った、あなたの方が正しい」と言いました。

 この時ちょうどキツネが通りかかりました。彼らの話を聞いて、頭をふって、遠くの丘を指さしながら「天はあなた達の言っている高さではない。あの丘の高さだ」と言いました。ニワトリはキツネに食べられるのを恐れてあわててキツネの聡明さを褒めました。キツネは満足して歩いていきました。

 具合の悪いことに運の悪いキツネは狩人に鉄砲で追い詰められました。天は丘の高さだと聞いた狩人は「ばかもの、天は雲の高さだ」と言ました。キツネは鉄砲で撃たれるのを恐れてあわてて狩人の方が正しいと言いました。しかも泰山に褒美をもらいに行ったらどうですかと提案しました。狩人はそれを聞くとそれがいいと泰山に出発しました。

 狩人は道の途中役人に出会いました。役人は「天は雲の高さだ」というのを聞いて「天は太陽の高さだ」と罵りました。狩人は役人を恐れて、役人の方が正しいと言いました。役人は自分が褒美をもらいにいくと言いました。

 役人がそんなに歩かない内に、皇帝と会いました。皇帝は褒美の話と「天は太陽の高さ」だということを聞きました。皇帝は「天は私の寿命と同じ高さだ」と言いました。役人は皇帝を恐れました。すぐに皇帝の方が正しいと言いました。皇帝は自分が褒美をもらいに行くと言いました。

 皇帝が兵を引き連れて山の前に行こうとした時、学者に合いました。皇帝は学者を呼びとめて「あなたはなにをしに行っているのですか」と聞くと、学者は「泰山の問題を答えに行っているところです」と答えました。皇帝は「あなたは天がどれくらい高いか知っているのですか」と問うと、学者は「天は無限に高い」と答えました。

 「違う」皇帝は学者の話を遮りました。「あなたは間違っている。天は皇帝の寿命の高さだ」と言いました。

 学者は「天は無限の高さです。しかしあなたの寿命は有限です。この話はあなたにとって不愉快でしょが、これが事実です」と言いました。

 皇帝は大変怒り、真理を強く主張した学者を殺し、泰山へ向かいました。

泰山につくと、皇帝が「泰山、わたしは皇帝だ。あなたの問題を答えにきた」と言うと泰山も「あなたの答えを聞きたい」と言いました。そして「天は自分の寿命の高さである」と皇帝が言うとそれに対して「わたしにでたらめをいいにきたのか」と泰山が言いました。皇帝は怒って自分が引きつれてきた十万の兵隊にこの泰山を攻めさせました。しかし皇帝と兵隊たちが山の中腹に来た時に山の大きな唸り声がして、皇帝と兵隊たちは泰山の腹の中にのみ込まれてしまいました。

 月日がたちました。泰山の問題を答えにくる人が誰もいませんでした。泰山はきがふさぎました。

 ある日小鳥が山頂に飛んできました。学者の答えを泰山に報告しました。泰山は自分が約束したことを実行しようとしました。学者の子孫に褒美をあげようとしましたが、あいにく学者には子孫がいませんでした。小鳥が泰山に学者は生前苦しいめにあっている人々が自分の子孫だといっていたと報告しました。

 それを聞いた泰山は自分の胸を痛めて、水を田んぼに送り、樹は大工やきこりに、薬草は病人に、岩は坑夫に手渡しました。人間社会に心楽しい安住の景色が現れました。