2008 10 小値賀町

これから野崎島へ向かう。
数年間の念願が叶う時が来た。
船に乗ることを、こんなに楽しく感じるのは初めてだ。

海は、少し荒れ気味だった。
乗る人が多く、座席に座ることが出来なかったので、船首の下にあるスペースに潜り込んだ。
船首は一番揺れる場所だが、寝転がっていたので大丈夫だった。

20〜30分ほどで、野崎島へ到着。
いよいよ上陸だ。

無人島とは思えないほど、整備された景色に驚いた。
どこかの公園といった感じだ。


坂道を登って、旧野首教会を目指す。
途中に、十字架が建っている。
墓だろうか。

坂道の途中で、港を見下ろす。
海がとても綺麗だ。


坂を登りきると、突然、ダムが姿を現した。

ここは、野崎ダム。
平成12年に造られ、海底送水管により小値賀島に送水している。
こんなところに、ダムがあるとは思わなかった。

ダムを過ぎると、やがて、集落跡に出る。
家があったのか、畑だったのか分からないが、区割りだけは昔のまま残っているようだ。

左の建物は、ワイルドパーク自然学塾村
野崎小中学校を改修して、平成元年にオープンした。
宿泊施設があり、キャンプをすることもできる。
トレッキングなど、各種体験プログラムが準備されている。

目の前に、旧野首教会が見えてきた。
数年間、ずっと行きたいと願っていた教会である。
いま、それが目の前にある。
夢のようだ。

教会の周辺には、家や畑の跡地が広がっている。
この教会を囲むように、集落が広がっていたのだろう。
今となっては、かつての風景を想像することも難しい。

もともとは、潜伏キリシタンが移住したのが始まりで、野首と船森の二つのキリシタン集落があった。
しかし、昭和40年頃から集団移住が始まり、ついに昭和46年に無人島となってしまった。

このワイルドパーク自然学習塾村の管理人が住んでいるので、正確には無人島ではない。
今は、人に代わって、多くの鹿が島に生息しているそうだ。
残念ながら、今回は一匹も見ることが出来なかった。

旧野首教会。
鉄川与助の設計・施工による最初の煉瓦迫教会堂建築で、明治41年に完成した。

住民の集団移住の後、教会堂は荒廃したが、大改修の後の平成元年に長崎県指定有形文化財に指定された。

教会は小さな丘の上にあり、集落を見守るように建っている。
コンサートまでは時間があるので、海へ行くことにした。

どの角度から見ても、旧野首教会は溜め息が出るほど、美しい。
どこか外国のような雰囲気さえある。
野崎島へ行った人は、みんな感動して帰ってくる。
それは、決して嘘ではないようだ。

ワイルドパーク自然学習塾村
今夜は、ここでもコンサートが開かれるそうだ。
夜は、素晴らしい星空が見られるだろう。

何もない無人島に一泊するのも、面白いだろう。
不便さが、また良い。

ワイルドパーク自然学習塾村と旧野首教会。
ここで、初めて人が住んでいた頃の風景を思い浮かべることが出来た。
教会に見守れながら、この運動場で、体育大会や文化祭などが開かれていたのだろう。
その賑わいは、もう二度と戻らない。

「かつて人が住んでいた場所」という観光地は、他にはない。
ある意味、貴重な場所である。

野崎海水浴場へ下りる。
青い海と白い砂浜。
溜め息が出るほど、美しい。

遠浅で、穏やかである。
泳げない人間には、最適な海だ。

夏には、海水浴場として賑わうそうだ。
いつか夏に訪れてみたいものだ。

このまま、ずっと眺めていたかった。
しかし、そろそろ教会コンサートが始まるので、時間がない。

名残惜しいが、また来よう。

旧野首教会に戻ってきた。

この教会は、島民が迫害を乗り越え、貧しい生活を切り詰めて資金を集め、労力も提供して造られた。
ただ、美しいという感想を持つのも良いが、そういう背景を知り、当時の人たちの辛苦を思いながら、鑑賞してほしい。
当たり前に、そこに存在しているというわけではない。

教会コンサートが始まるので、中に入った。
ステンドグラスから日が差して、床を照らしている。

小値賀町歴史風俗資料館に、荒れ果てていた頃の写真があった。
よくここまで改修したものだと思う。
普段の管理も大変だろう。

教会コンサートは荘厳な雰囲気の中で始まった。
静かな曲が多く、歩き疲れたのもあり、ちょっと眠かった。

おぢか国際音楽祭は世界各国から演奏者を招き、演奏会のほか、音楽講習会やセミナー、音楽療法講座など、多種多様なイベントが実施される。
ここまで充実した内容の音楽祭は、本土地区でもなかなかない。
レベルが高いイベントである。
あまり、県内で知名度が高くないのが、実にもったいない。
いつまでも続けてほしいと願う。

教会の前に、大東亜戦争記念と刻まれた石柱があった。
この不釣合いな石柱が、なぜここにあるのだろうか。

今回、野崎島や旧野首教会を紹介するガイドさんがいなかった。
初めて野崎島へ行く人も多いのだから、いろいろと説明してくれるガイドさんが同行していれば、参加者の知的欲求も満たされたであろう。
ガイドの存在は、これからの観光に不可欠だ。

野崎島の滞在時間も短くなってきた。
船に乗り遅れたら、もう小値賀島へ帰ることが出来ない。
他の人とはぐれないようにしないといけない。

名残惜しいが、旧野首教会も見納め。

次回訪れる際は、ワイルドパーク自然学習塾村に泊まり、野首海水浴場の潮騒を聴きながら、過ごしてみたい。

また、野崎島には島の北側に沖ノ神嶋神社があり、その裏手には、「王位石」という不思議な巨石が立っている。
昔は、岩場の上で神楽を舞っていたという伝説も残っている。
宇久からの帰りにフェリーから見たことがあるが、次回はぜひ近くから見てみたい。

いつか、また来よう。
今度は、ゆっくり滞在したいものだ。

野崎島へは、笛吹から町営船「第3はまゆう」で行くことが出来る。
いくつも島があるので、町営船の旅も面白そうだ。
小値賀島や野崎島以外の島の魅力を引き出すことが出来れば、観光客の滞在期間を延ばし、リピーターを増やすことが出来るかもしれない。宇久との連携も考えたいところだ。

全ての島に渡ってみたい。
何泊すれば、可能だろうか。

鹿のオブジェがあった。
妙にリアルで、気持ち悪い。
可愛くない。

小値賀島へ戻る。
風はあるが、海は荒れていないようだ。

帰りも行きと同じ場所になった。
野崎島には、個人で頼んで海上タクシーで行くことも出来る。
団体で行く場合は、その方が便利で良い。

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