外海散策(長崎市)

道の駅「夕陽が丘 そとめ」から眺めた出津文化村。
工事中の旧救助院や白い尖塔のある出津教会が見える。

遠藤周作記念館と池島を眺める。
今回は、遠藤周作記念館には寄らなかった。

恥ずかしながら、小説をあまり読まない方なのだが、遠藤周作の「沈黙」「深い河」「海と毒薬」は読んだ。
おそらく、この3冊くらいが、まともに読んだ小説だと思う。
長崎のキリスト教、特に、迫害の歴史に興味を持ったのは、「沈黙」の影響だろう。非常に単純な話であるが・・・

道の駅で買い物をした後、長崎市方面に帰る途中、枯松神社へ。
今は道が整備されて、車でかなり近くまで行くことが出来る。

枯松神社は、「バスチャン暦」や「四つの予言」で知られる日本人伝道士バスチャンの師である宣教師サン・ジュワンを祀っている。

途中にある「祈りの岩」
ここで、オラショを伝承してきたと言われる。

参道は、ちょっとした山道が続く。
夏は蛇とかが出そうなので、この冬の時期が良いかもしれない。

しばらくすると、枯松神社が見えてきた。

キリシタンを祀った神社は全国的に珍しく、枯松神社のほかには、長崎市の渕神社桑姫大明神、伊豆大島のおたあね大明神が知られている。

写真では、よく見ていたのだが、実際に現地で見ると全然印象が違っていた。
社叢から厳かな空気が漂って、何とも気高い感じがした。

しかし、神社の裏手には墓地が広がり、開発が進んでいた。
聖地であるのであれば、もう少し守られても良いのでは。
ちょっと残念。

観光バスが停められる駐車場も近くに作られていた。
他にはない稀有な観光地ではあるが、昔から守られてきた祈りの場でもある。
難しい問題だ。
結局は、訪れる人間がモラルを備え、他を尊敬する気持ちを持っているかということ。
今後は、観光地も観光客を選ぶ必要があるのかもしれない。

最後の訪問地、黒崎教会。
ド・ロ神父の設計だが、ド・ロ神父が亡くなった後の大正9年に完成した。

聖堂内の四角の柱は、田平教会に使われる予定だったものを、田平教会の設計変更に伴い、譲り受けたものだと言われている。

ステンドグラスの光が差し、とても美しい。
やはり、ステンドグラスがあった方が、教会っぽくて良いかな。

こうして、外海散策の1日が終わった。
長崎歴史文化観光検定1級の勉強のためであったが、ド・ロ神父の偉業に改めて触れることで、とても感慨深い1日となった。

外海町には、ド・ロ神父関連の遺跡だけでも、まだまだたくさんある。
南フランスのプロヴァンスを思わせるような開拓農地(大平開拓農地)もあるそうだ。
そのほか、大平作業場跡、バスチャン屋敷跡など、見所が多い。

石釜パンを焼くお洒落なパン屋やカフェも多数出来ており、これから女性を中心に注目されること間違いないだろう。
神浦散歩未知というイベントをしている神浦地区も、今後の展開を見逃せない。

たとえ世界遺産の指定が叶わなかったとしても、それで外海の魅力が陰るということはない。

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