Nautilus804/4way用チャンネルデバイダの製作

Nautilus804の超低域用にチャンネルデバイダを製作しました。チャンデバを使いNautilus804を4way化しますが、クロスオーバー周波数は150Hzとしました。低域にNautilus箱+30PL100を使いますが密閉箱なので低域がダラ下がり、ローパスフィルタ側でロープーストを行ない20Hzまで再生可能とします。

■回路図(ブロック図)

回路は牧原さんに設計して頂きました。出力OPアンプにはオフセット電圧調整回路を付けています。

■使用部品
何れの部品も手持ち品の活用、及び安価な汎用品を使いました。
●電源
電源トランスは160VAのトロイダルコア、電解コンデンサは総計10万μFで小型パワーアンプとなりました。各OPアンプのパスコンは2,200μFの電解コンデンサと10μF位のOSコンをパラで使っています。
●3端子レギュレータ
データシートを眺めリップル除去率が高い電圧可変型LM317/LM337を使いました。
●セレクタ、ボリューム
手持ちの東京高音製、ピンジャックも手持ちのモガミ製です。
●CR類
抵抗は汎用金属皮膜、DALEと手持ちを利用、フィルタ用コンデンサはポリプロピレン製でこれも汎用品です。
●OPアンプ
ビデオ帯域で使えるAD817を使用しました、これも牧原さんから教えて頂いたOPアンプです。

■製作

OPアンプの±電源の配線が楽な様にデジタルIC用ユニバーサル基板に組み上げました。高速OPアンプを使うので基板裏は銅箔テープ等でグランド面積を広く取っています。OPアンプの数が多く、思ったよりも製作に時間が掛かりました。
フィルタ用CRとローブーストCRは基板上から交換できるようにしています。

■簡単な測定
●電源のリップル電圧
LM317/337の電圧設定は手持ち抵抗を使ったので±14Vとなりました。ミリバルでリップルを測ると+側:40μV、−側20μV。
●出力ノイズ
ローパス側:30μV、ハイパス側:80μVとローノイズです。ローパス側は入力バッファOPアンプのノイズがローパスフィルタでカットされますが、ハイパス側はノイズが素通りするので出力ノイズが大きくなっています。
●発振
60MHzオシロで観測しましたが発振はありませんでした。200kHzの方形波が綺麗に通ります、リンキング等もありません。発振器の都合で200kHzまでとなりましたが、MHz帯域の方形波も綺麗だと思います。

■音出し
Nautilus804の駆動アンプは改造satriアンプ、Nautilus箱+30PL100駆動はメーカー製アンプです。テストCDのスィープ信号を再生し、20Hzまで概ねフラットであることを確認しました。
音は予想に反して非常に軽い(重)低音です、小ホールで聴くコントラバス並に軽く深く延びています。濁りの少ないNautilus箱と超低歪W/30PL100から出てくる低域は実に軽やかで、楽器の響きや形状、空間表現が各段に向上しました。オーディオ的な迫力のあるボンつく低音は聞こえません、web上で紹介されている超低域再生も同じ様です。打楽器や声楽は薄気味悪いほどにリアルとなりました、またコントラバスの弦がビビるのが明快になりました。チェンバロ低域のガサゴソ音が大きくなり耳障りとなるCDもあります。ピアノもチェンバロ同様に床に伝わる音が良く分かります。ローパス側音量を絞ると楽器の響きや形状、空間表現が失せてしまいます。
30PL100のカタログスペックと以前行なったNautilus804の簡易歪率測定結果から推測すると、全帯域のSP歪率は1%を楽に切ると思います。
またバスレフ箱、バックロードホーン、共鳴管等の団子となった反応・解像度が悪い低域と比べ各段に良い音です。
チャンデバでSPが4wayとなり力むところが全くありません、困難と思われた4wayですが意外と簡単に実現することができました。
コンサート会場でオーケストラを聴きながら居眠りすることが(稀に?)ありますが、音量を上げても煩くないので心地良く睡魔に負けることができます。但しパワーを非常に食うシステムとなりました。また小型パワーアンプ並の強力電源の効果が十分に分かりました。

市販の大型スーパーウーハーや大型SPの低域と比べ実に軽やかで明瞭です。

■OPアンプの音
手持ちのOPA604、LF357、アダプタを介しNJM2114、5532他を聴きましたが何れも反応が悪く聴くに絶えませんでした。やはりビデオ帯域用OPアンプの使用が必須だと思います。
OPアンプは敬遠される様ですが、殆どのCDPは数段のOPアンプを通っています。もっとOPアンプを見直しても良いのではないでしょうか。同規模のチャンデバをディスクリートで組むと???やる気が失せそうです。

■バイアス電流によるオフセット
AD817は入力バイアス電流がやや大きく、音量ボリュームをMIN〜MAXに変化させるとオフセット電圧が数十mV変化します。コンデンサでDC成分をカットするか別機種のOPアンプを選択するか、出力段にDCサーボを使うか検討が必要となりました。

=>オフセット対策

入力にコンデンサを入れオフセット電圧対処を行ないました、コンデンサはスピーカネットワーク改造で外したものを使いました。カットオス周波数が約3Hzと高くなり聴感上も僅かに超低域が切れますが、その分すっきりした音です。これでもテストCDに入っている5Hzを再生すると30PL100ウーハのコーン紙がフカフカと揺れます。何れカットオフを1Hz以下にする予定です。

■チャンデバ初段ゲインの変更
satriアンプはアンプ側の音量を上げると増幅度が増え高域特性が悪くなっていきます、悪いと言ってもボリューム中央付近で1MHz位ありますが。これによりスピード感が失せてくるのが気になっていました。そこでチャンデバ初段ゲインをA=1からA=2に変更し、その分satriアンプゲインを落とすことにしました。
結果は上々で音量を上げてもスピード感が低下しません。

■初段OPアンプの高速化

AD817のスルーレートは350V/μsですがいくつか高速OPアンプを評価しました。評価は初段OPンプで行ないました。以下はAD817との比較です。
●LM6361 (スルーレート350V/μs) : 抜けが良く見通しが良い音
●LM7171 (スルーレート4100V/μs) : 更にスピード感が増し音象が小さくなります => 採用

オーディオ用OPアンプのスルーレートは早くても数十V/μs止まり、聴感上もロースピードで音象が肥大します。高速OPアンプを使うと低域まで音が変わってきます。また心配していたノイズも目立ちません。高速OPアンプは発振が心配でしたが、セオリーに従ってしっかりしたアース取りと十分な容量を持ったパスコンを入れることで発振も無く安定動作しています。但しMHz帯域の発振器とオシロが必須です。

■OPアンプの追評価
LM6171 (スルーレート3600V/μs)を入手しました。低歪と謳ってあり入力バイアス電流も少な目です。
立ち上がり〜立下りが良く、歪感も少なく木目細かで上手く鳴ってくれます。メーカー製ヘッドフォンアンプにも使われている様です。

2003/4/30 create t.shiroyama
update 2003 5.1、6.3、10.12