FFTでスピーカ歪み測定

 

■経緯

CDスィープ信号+FFTでSP(スピーカ)の周波数特性を測っていますが、FFTで2次、3次の歪みに気付きました。早速手持ちSPの歪み率を測ることにしました。

■基礎実験

WaveSpectra(FFT)とWaveGene(PC音源)を使って歪み率を測ってみました。各ソフトのダウンロード、使用方法は

FFTソフトの使い方を参照して下さい。

◆WaveGene(PC音源)で歪み波形を発生

Wave1で1KHzの基本波を発生、Wave2で2KHzの歪みを同時に発生させます。1KHzの信号レベルは−3dB、2KHz歪みは−23dB。

−20dB=1/10=0.1=10%の歪みを含んだ信号となります。(他にスィープ信号、トーンバースト波も発生可能)

※WaveGeneを作られたefuさんからのコメント

ディジタルオーディオでは常に0dBは「完全な限界」なので、2つ以上の信号を加える(合成)時には、加えた結果が0dBを決して超えないように作ってくださいとのこと。(-3dB + -23dB 等)

 

◆WaveSpectra(FFT)で歪みを確認

WaveSpectraの同梱Ws.txtを見ると、歪み率測定は窓関数にブラックマンやブラックマン-ハリスが良いと有ります。画面右上のスパナボタンをクリックし、FFT窓関数を何れかの関数に指定します。

[THD]ボタン、[プレイ]ボタンを押し波形を観測しました。1KHzの基本波と2KHzの歪みが確認できます。

[ストップ]または[ポーズ]ボタンを押すと、画面左隅に全調波歪み(THD)が表示されます。歪みは約10%でWaveGene(PC音源)で作った10%歪み信号と一致します。

発信器=>WaveSpectra(FFT)で測った画像です。発信器の歪みが0.13%ある事が分かります。

■SP歪み測定

WaveGene(PC音源)=>アンプ=>SP(B&W CDM7NT) 〜 マイク=>WaveSpectra(FFT)で歪み率を測りました。

アンプ出力電圧は1W/8Ω換算で2.83Vに調整しています。

WaveSpectra(FFT)に表示された歪み率を読み取り、グラフ化した結果です。

SP歪みのカタログスペックは 55Hz〜20KHz:1%以下、60Hz〜20KHz:0.5%以下とあります。

400Hz以上は概ね−50dB以下でカタログスペック内に納まっています。

■測定の難しさ

SP〜マイク距離で低域歪み率が大きく異なります。推測ですが部屋の影響を受け、残響(反射)成分が歪み率を悪化させている様です。

■今後

いくつかSPがあるので歪み率の比較を行ってみようと思います。

 

2001/4/19 create t.shiroyama

update 4/21、5/13