ジャンクチューナの再生1

チューナ購入のため最近はやりのリサイクルショップを覗いてみました。チューナは不人気のようでかなりの台数がゴロゴロしています、壊れていても修理できそうなアナログ式チューナを探してみました。電源コードの製造年を頼りに比較的新しい薄型を見つけました。84年製で電源は入るが動作保証無しのジャンク品です、格安で購入できました。

■動作確認
FMアンテナ端子に1m位のリード線を付けチューニングすると、立派にFMステレオ放送が受信できます。AMループアンテナが付属していなかったのでリード線で数ターン(直径20cm位)のコイルを作りAMアンテナ端子へ接続、これも無事に音が出ました。コイルの直径、巻き数を少し換えてみましたが特に変化はありません。

周波数目盛りは妖艶なグリーン、古いチューナに付いていたチューニングメータはありません。代わりにLEDでチューニングが分かります。
■クリーンアップ
先ずは雑巾でゴシゴシと拭き上げ、続いて工業用アルコールをティッシュペーパーか柔らかい布に付けて拭き上げ、工業用アルコールは薬局で購入できます。
チューナ内部は掃除機で吸いながら筆、小さな刷毛でホコリを取り除きます。アンプと異なりカバー(ケース)に放熱用穴が無いので内部が綺麗です。
チューニングダイヤルが少し固いので、チューニングノブ(ツマミ)軸受けに少量の油を注すと軽くなりました。
バリコンの糸掛け方法は念のため紙に控えておきます。
■手始めに

チューナ基板を見るとオーディオ部品が全く使われていません。高周波部、チューニング表示部、MPX(FMステレオ復調)に計3個のICが使われています、FMフロントエンドは3石です。ICの供給電圧を測ると電源部が2系統に分かれています。電源部の電解コンデンサ2個をオーディオ用に交換すると、くすんだ音が明快な音に変わりました。使用しているハイコンポレシーバのチューナ部と比べると、感度、S/N比、音質ともに良好です。
■AM用ループアンテナの製作

ホームセンターから丸棒、木材片を購入しループアンテナを製作、大きさは幅16cm、高さ34cmの小さなものです。オイルステインで焦げ茶色に着色し、水性ニスを軽く塗っています。簡単に済ませるため布にオイルステインを染み込ませ木部をゴシゴシ擦りました、ニスも同様です。コイルはエナメル線を4回巻き、チューナに繋ぐとAMが受信できました。コイル巻き数を増減してもAM受信に変化はありません。

■本格的な部品交換

以下内容で部品を交換してみました。

整流ダイオード : 汎用品 => ファーストリカバリ

電源周り : 汎用電解コンデンサ => オーディオ用

FMフロントエンド : 大容量のパスコン無し => オーディオ用を追加

FMフロントエンド以降のパスコン : セラミック => フィルムコン(周波数が10.7MHzなので大丈夫そう)

低周波信号部 : 汎用電解コンデンサ => 積層フィルムコン

各IC電源のパスコン : ICピンにフィルムコンを直付け

古い『ラジオの製作』誌等の製作記事を参考にプリント基板上の回路を追いました。比較的新しいチューナだとICメーカのホームページからデータシートをダウンロードできると思います。FM、AMのIFTを回し簡単に調整も行いましたが、調整ズレはありませんでした。

■結果

SATRIアンプ+B&W・SPに繋いでNHK・FMを聴いてみました。CDと比べるとややナローレンジ、骨太の音ですが、FMステレオ放送の規格上仕方ないところです。クラッシック、ジャズ共に結構な音です。シンバルはチリチリと澄んだ音、弦楽も心地よく響きます。

民放と比べNHK・FMは格段に音質が良く、もっと見直されても良いと感じました。

 

2001/6/14 create t.shiroyama
update 6/15、6/17