外海散策(長崎市)

平成22年1月15日。
数日前に9年ぶりの大雪が降ったとは思えないほどの陽気に誘われ、長崎市外海町を訪れることにした。

今回は、長崎歴史文化観光検定1級の勉強のため、ド・ロ神父関係の史跡を回ることも目的の一つ。

外海町は、長崎市中心部から車で30分程。
平成17年に長崎市に編入された。

ド・ロ神父は、1840年、フランスのヴォスロール村に生まれた。
1868年、大浦天主堂のプチジャン神父に招かれ、石版印刷の技術を伝えるために来日した。
その後、外海地区に赴任し、救助院や鰯網工場、保育所などの授産・福祉施設を開設した。

屋根瓦は、旧鰯網工場であるド・ロ神父記念館。
奥に見える尖塔は、出津教会だ。

ド・ロ神父記念館の前に旧救助院があるが、残念ながら工事中。
旧救助院は、平成15年に国の重要文化財に指定された。
かなり大きな建物のようだ。
見てみたかった・・・

ここで、マカロニやパンが作られ、長崎の外国人居留地で販売されていた。
そのため、日本で最初にパスタを作った場所とも言われている。

ド・ロ神父様。

実は、小学生の頃に外海町に来たことがあったが、ド・ロ神父の銅像は、そのときも同じ場所だったのだろうか・・・

ド・ロ神父は、大正3年に74歳で亡くなるまで、外海地区の社会福祉や産業開発に力を尽くし、出津共同墓地に埋葬されている。

是より南は佐賀領とある。
ここが佐賀藩と大村藩の境なのだろう。

ド・ロ神父の銅像の横に立っている。

ド・ロ神父記念館(旧鰯網工場)。

ここには、ド・ロ神父関連の祭礼具や産業関係の資料が展示されている。
ド・ロ版画や人体模型などがあり、見応えのある内容だった。

中には、91歳になるシスターがいて、ミサ用の古いハルモニウムオルガンを弾きながら、賛美歌を歌ってくれた。
シスターには、いつまでも元気でいてもらいたいものだ。

ド・ロ神父が救助院で伝えた素麺が「ド・ロ様素麺」として、現在、町の名産品となっている。

また、ヴォスロール村と外海町(長崎市)は、昭和53年に姉妹都市となっている。

外海歴史民俗資料館、救助院、ド・ロ神父記念館、出津教会は歩いて見て回ることが出来る。
一帯は、出津文化村と呼ばれている。

ド・ロ神父記念館から細い道をあがっていくと、出津教会と井戸が見えてきた。
井戸の横には、マリア様が立っている。
どこかヨーロッパの田舎にいるような感覚がした。
ヨーロッパには行ったことないが・・・

出津教会。
白亜の尖塔が美しい。

明治15年に、ド・ロ神父の設計により建設された。

ド・ロ神父は、日本に西洋建築技術を伝えた人物としても有名で、出津教会のほか、旧羅典神学校(大浦天主堂横)なども設計した。
また、長崎の教会建築で有名な鉄川与助にも指導するなど、長崎における西洋建築に大きな影響を与えた。

出津教会の内部。
外観と比べて、内観がとても質素な印象を受けた。
これまで、いろいろ教会堂を見て回ったが、一番飾り気がないように思える。

その飾り気の無さが、教会内の厳かな雰囲気を引き立てている。
教会堂の裏手に、ド・ロ神父の胸像があった。
後ろの建物は、司祭館。

出津教会を後にして、ド・ロ神父記念館へ戻る。
行きで見た井戸が見える。
左の建物は、信徒会館。
この辺りは、景観が守られており、素朴な感じがとても良い。

最初に来て、車を停めた外海歴史民俗資料館。
ここには、池島炭鉱の資料のほか、外海のキリスト教関連資料、民俗資料が多数展示されている。

この日は、展示室がとても寒かった・・・

遠藤周作の「沈黙」の碑。
「人間がこんなに哀しいのに、主よ、海があまりに碧いのです」

国道から外海歴史民俗資料館に入る高台にある。

沈黙の碑から見た出津漁港。
「出津川ド・ロさま石垣」というド・ロ神父が指導して築いた石垣があるそうだ。

かつて、外海の人たちは、この海を渡って五島へ移住した。
「五島へ五島へと皆ゆきたがる 五島はやさしや土地までも 五島は極楽 行ってみりゃ地獄…」

やせた土地に暮らす人たちは、信仰心を支えに生き抜くしかなかったのだろう。

出津文化村を後にして、大野地区へ。
ここには、重要文化財である「大野教会」がある。

周りの景色に溶け込んだ素朴な教会だ。

玄武岩を用いて、赤土と石灰、砂、セメントで練り上げた「ド・ロさま塀」が特徴である。

明治26年に、ド・ロ神父により造られた。
風が強い外海の風土に適した造りになっているそうだ。

教会堂の裏手には、数日前の雪が残っていた。

中には入れなかったので、小窓から写真を撮った。
シンプルな内装だ。

ここまで来る道は広くはないが、離合は出来るほどの幅員はある。
ただ、駐車場に登る道は狭くて、舗装が荒い。
駐車場も3台ほどが停められる広さなので、注意が必要。

ヨーロッパの田園の中にある小さな教会といった趣がある。
小さくて、可愛い教会だった。

駐車場から池島が見えた。
今日は天気が良くて、海がとても綺麗だ。

池島は、2001年の閉山まで炭鉱で栄えた。
炭鉱跡は、長崎さるくのコースとなり、見学することが出来る。
ぜひ、いつか行ってみたいものだ。

大野教会近くにあるカフェ「ひなたの匂い」
お腹が空いていたので、初めて寄ってみたが、当たりであった。
1000円のランチは、ピザやパスタが選べて、しかも美味しい。
デザートには、「ゆうこう」という長崎の柑橘類を使ったシフォンケーキが出てくる。
これもあっさりとしていて、かなり美味しかった。
眺めも良く、お店の人も親切。
また立ち寄りたくなるカフェだ。

カフェの前には、木で作られた展望台がある。
机や椅子が設置されていて、ゆっくりと過ごすことが出来る。
これから、穴場の夕陽スポットになりそうだ。

お腹も満たされたので、これから道の駅「夕陽が丘 そとめ」へ。

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