国道251号線を飯盛町から愛野町へ向かうと、左手に「水晶観音」というバス停が見えてくる。 さぞかし霊験あらたかな観音様なのだろう。 気にはなっていたが、これまで行くきっかけがなかった。 しかし、平成19年のある時、突然行ってみようと決意し、今回の訪問となった。 |
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水晶観音が安置されている補陀林寺。 訪れてみると、老婦人が出てこられた。 話を聞くと、住職は亡くなり、代わりに管理をされているとのこと。 |
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昔は、長崎市内からも多くの参拝客が訪れていたそうだ。 お寺の前の道は広くなったが、今は参拝客はめっきり少なくなった。 こうやって訪れる人も珍しいとの話であった。 |
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本堂の内部。 あの厨子の中に、水晶観音が安置されている。 と思っていたら、管理人の方が奥から水晶観音様を持ってきてくださった。 |
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こちらが、水晶観音様である。 約30センチ弱の小さな観音様だ。 当然のことながら、体は透き通っている。 |
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「水晶観音縁起」によると、956年にこの地の領主の姫であった虎御膳が楠の木を伐採して、くり舟を作らせた。その後、くり船と姫は唐比の池の底に沈んでしまい、500年の後、湖底から水晶観音がくり舟に乗って浮かび上がったという。(「諫早市の文化財」より) 霊験あらたかな観音様であることに間違いはない。 写真撮影を申し出ると、快く許可してくださった。 恐れ多い気持ちもあったが、貴重な機会だったので、何枚か撮影させていただいた。 |
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斜めから見ると、透き通っている様子がはっきりと見える。 しばらく水晶観音様の美しい姿に見入ってしまった。 神々しいお姿である。 |
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唐比のくり舟は、市指定有形文化財に指定されている。 現在は、唐比温泉センター敷地内の水槽に保存・展示されているが、とても文化財とは思えない雑な扱いとなっている。 面白い物語が残っているだけに、もったいない。 |
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唐比地区には、国道を挟んで海側の方に、唐比温泉センター、唐比蓮園、唐比ふれあい牧場などがある。 唐比温泉センターは、昔ながらの情緒が残る温泉場で、お湯は塩湯でなかなか良い。 唐比蓮園もよく整備されており、7月の開花時期に合わせて、蓮祭りも開催されている。 |
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このように唐比地区には、観光資源がまとまって存在している。 水晶観音の参拝、唐比温泉の入浴や唐比蓮園の散策は、高齢者の団体を対象とした観光に適しているのではないだろうか。 今の雰囲気を守りつつ、かつての賑わいが戻ることを期待したい。 小浜富津の切り通しが緑のトンネルとして話題となっている小浜鉄道(雲仙鉄道)には、かつて「水晶観音駅」という停車場があった。 今は廃線となっており、再度脚光を浴びることは難しいとは思うが、小浜鉄道の跡を辿るツアーなど、何か出来ないものか。 いろんな可能性を探っていきたい。 |