SATRI−IC・パワーアンプ
手作りアンプの会西原さんがバクーン・プロダクツ社のパワーアンプを使用され、なかなか良いアンプだと伺いました。早速私も作ってみたくなりました。今回も牧原さん、西原さんのお知恵を拝借して製作です、いつも有り難うございます。
心臓部がハイブリッドICでパッケージ化されており、OPアンプ感覚で使えそうです。詳しい内容は試聴屋さんHPにある技術情報を見て下さい。但し周波数がMHz帯域まで延びており、電源の低インピーダンス化、広帯域化が必須となりそうです。またユーザ訪問記で製作事例があり大変参考になります。
試聴屋さんのキット紹介欄にあるアンプ画像をクリックすると回路図、取説まで見ることができます!!!
上記技術情報に参考回路図が載っており至って簡単です。私も参考回路を基に作ることにしました。MOS−FETも若干の温度ドリフトがあるようで温度補償が必要かも知れません、温度ドリフトが多ければ温度補償を行うことにします。
パワー段はフードバックが掛かっておらずダンピングファクタ低下が予想されますが、試聴記を拝見すると心配無さそうです。nagasさんHPにSATRIプリアンプ製作があり、SATRI−LINKが付いています。私も付けることにしました。
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整流ダイオード (ファーストリカバリ型) |
パワー段用には25A規格品を使用、巷では大電流ダイオードは音が良い? SATRI−IC用は1Aショトキー |
ブロックコンデンサ (パワー段) |
エルナー・セラファイン35V15,000uFx4個 高域寄りの音です |
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東京高音製、アース側も切り替えます |
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コスモス製φ30、後でロータリSW+抵抗を組み合わせたものに交換予定、アルプス・デテント式もあるので比較試聴とします |
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コパル・多回転型 製作事例を見ると1回転型では調整し辛いようです |
抵抗 |
DALE・CMF−55、1/2W金皮、1kΩはアルファ箔を奮発! |
小型電解コンデンサ |
SATRI−IC廻りはOSコン、他はニチコン・ミューズ(緑)、セラファイン等 |
アンプ基板 |
比較的部品点数が少ないのでガラスエポキシ製のユニバーサル基板を使います |
放熱器 |
手持ち放熱器は大きくてケースに入りません 一部切断して使います |
パワーMOS−FET |
古いものですが手持ちの2SK1056/J160を使用 |
他FET、Tr |
これも手持ちの2SK246/J103 Trは耐圧さえ満足すればなんでも良いと思います |
OPアンプ (DCサーボ用) |
技術情報では高速型を使っています。手持ちOPA604を使用。 音質、ドリフトに問題があれば別途購入とします |
ピンジャック |
モガミ製と昔買ったオーディオクラフト製を使います オーディオクラフト製は結構な値段でした。(2個¥5,000位) |
配線材 |
殆ど使ってしまい購入が必要です。 モガミ、テフロン線...検討中 |
細いフェルトペンで穴位置をマーキングしボール盤で一気に穴開けです。正面パネルに付ける取っ手、電源SW、ツマミの位置は毎回悩みます。アンプの顔となるのでジックリと配置を考えました。
底板が1.5oとやや薄いので、縦方向に2o厚・25o角のアルミチャネルで補強します。VR、セレクタSW取付板、アンプ基板ベースには3o〜5oアルミ板を使いました。何れもパネル用アルミ材の端材を再利用しました。また仮組を行い、穴開け位置に誤りがないか確認しました。
地方では部品と同様に配線材も入手が困難です。地方でもSPケーブルは入手できるので良く配線材として使っています。
電源ケーブルは地元オーディオショップから頂いたアクロテック6N、電源廻りはTARA−Labsの単線6本を1芯とした4芯スターカッドSPケーブルを使います。SATRIアンプは銀メッキ単線テフロンケーブルが良く使われていますが、モガミ0.8o単線(OFC)+テフロンチューブで作って見ました。単線は硬いので適宜モガミ配線材を併用します。
先ずはSATRI−IC用電源基板を作りました。
好みのフィードバック型定電圧回路を使い、秋葉原で買ったジャンク両面基板(スルーホール)に組み上げました。アンプ側に気を取られ電源部品の手配忘れがいくつかあり、手持ち部品を流用します。電解コンデンサは両ch合わせ約20,000μF、小さなパワーアンプ並の容量です。大きなものは皮剥ぎしました。動作確認したところレギュレータの発熱が少しあり、急遽小さな放熱器を追加しました。
当初パワー段はシングルで製作予定でした。B&WのSPのインピーダンスが3Ω近くまで下がるので、パワー段MOS−FETをパラ接続とします。基板は両面スルーホール基板を使いました。
基板が窮屈なのでOSコンは基板裏に付けました。パワー段のソース抵抗、ゲート抵抗も基板に付かず、MOS−FET側に取り付けます。バッファ段も別基板に組み付けとします。(当初計画したアンプ基板図とはかなり異なりました)
電源〜パワー段FETの配線です。先ずは音出し優先でパワーFETはシングル、入力もSATRI−LINKのみ接続。音量調整用VRは最大10KΩまでインピーダンスが上がるので、2芯シールド線を使用しました。
★調整中に片chをテスター棒でショート、Trが昇天しました。
いくつか壊れたようで破損個所が分かりません、後で基板を外し調べることにしました。生き残ったchのパワーFETのアイドリングを調整、CDプレーヤのアナログ出力を直接SATRI−ICに入力しました。CDプレーヤのアナログ出力はOPアンプ出力に1KΩの抵抗がシリーズに入っており、無事に音が出ました。片chでは満足な評価もできず今日はお終い。★蛍光灯ノイズ
オシロスコープで調整を行ったところ、SATRI−IC電源ライン、SP端子に100KHz弱のスパイクノイズが載っています。電源の発振を疑いパスコン追加を実施しましたが改善ありません。アンプの電源を切ってもノイズがあります、飛来ノイズの様です。リード線で数巻のコイルを作りオシロに繋ぎノイズ源を調査、何とインバータ式蛍光灯からのノイズでした。ん〜ッ、いままでノイズ発生源の真下で音楽を楽しんでいたのかと思うとガックリです。部屋には調光式ダウンライト(白熱灯)があるのでこちらのノイズも調べてみました。ダウンライト、壁埋め込み調光器からノイズは出ていないようです。
片ch昇天〜ノイズ騒ぎ、疲れた1日でした。
昇天したアンプ基板を外し壊れた箇所を調べました。
▲パワーFETのバイアス調整VRとパラ接続しているOSコンの完全ショート => 手持ち鉄リードのOSコンに交換
▲ゲイン調整VR(アルプス・デテントVR)のオープン焼損 => コスモスφ30ボリウムに交換
以上で無事に直りました。
■試聴1(パワー段FETはシングル)
凄いの一言です、常用のアンプと比べるとベールを1枚剥いだ音です。試聴屋さんのユーザ訪問記の記事と同様にリアルな音が出ます。インピーダンスが3Ω近くまで下がるB&WのSPが綺麗に鳴ります。
■試聴2(パワー段FETは2パラ)
繊細さはやや劣りますが、これも結構な音です。今度はフルパワーで鳴らします、通常では鳴らさない大音量でアンプがクリップしました。パワーFET、フューズは飛んでおらず、出力に不足はありません。パワー段FETシングルの音は捨てがたいのですが、3ΩのSP駆動はかわいそうです。
■アンプの中身
牧原さん、西原さんのご教示の基、チューニングを施しています。詳しくは西原さんHPをご覧下さい。■発振対策
広帯域SATRI−ICは発振と隣合わせのようです。最初は60MHzオシロで観測できない帯域での発振があり、SATRI−IC用電源にパスコンを追加し発振が納まりました。現在も入力、出力をオープンとし測定器を繋ぐと60MHz位で発振する場合があります、何らかの発振対策が必要です。
=>基板毎に小容量コンデンサでベタアース化を計り、効果がありました
■今後
入力系は仮配線、発振の対策も必要でシールド線使用など線材の再検討が必要です。また音量調整用VRも抵抗+ロータリーSWを組み合わせたものに交換予定です。先日のインバータ式蛍光灯ノイズも、SP端子では観測できませんでした。念のため蛍光灯側のノイズ対策を行いたいと思います。CDプレーヤのアナログアウトを直接SATRI−ICに接続(SATRI−LINKと同じ)して使っていますが特に問題無いようです。暫くはSATRI−ICの前段バッファ無しで使いたいと思います。
■測定
アンプのアース取りを再検討し、完全に発振が止まりました。いよいよアンプの素性拝見です。何れの値も左右ほぼ同じです。
2001/1/4 create t.shiroyama
2001/1/30 update
2001/2/11 回路図、ブロック図修正
update 2/18、2/25、3/11、3/17〜18、3/25、4/5、5/26、5/27、5/31