伊能忠敬『測量日記』
九月十四日
曇り晴れ。六っ時後(午前6時過ぎ)に茂木村を出立した。
惣一手で測る。同村に昨日打ち止めたキ印より初めて、沿海を測る。字恵美須崎。左に恵美須社。字北ノ浦(北浦町)。字庄頭浜。字崩石の測遠の松に繋げる。横に一十八間(32.73m)。
字舅鼻(赤崎鼻)。右に四十間(72.73m)ばかり離れて大立岩が周囲二十間(36m)ばかり。字波石泊。右に岩あり。周囲十間(18m)ばかり。八淵川尻(飯香浦川)は巾六間(11m)ばかり。飯香(イカ)浦名(飯香浦町)。宇兵治宅で昼休み。
測所へ打ち上げ。横に一町(109.09m)。
琵琶ヶ崎(枇杷崎)。右に一町(109m)ばかり離れて、旅篭瀬が二十間(36m)ばかり。白崎。字大多尾浦(太田尾浦)で打ち止め。沿海二里三町三十三間(8,241.82m)。外に横に一町一十八間(141.82m)。総測二里四町五十一間(8,383.64m)。
それより乗船して八っ半時頃(午後3時頃)に茂木村枝飯香浦名(長崎市飯香浦町)の宿へ帰る。百姓の五郎太宅、宇右衛門宅、宇兵治宅。我等・永井・佐右衛門の上下七人の止宿は無く、日見村(長崎市界2丁目)で止宿。この夜は測る。
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