15号棟

 概要 : 木造4階建て 寄棟屋根
*本HPの写真・図版等の転載・転用等を固く禁止します。

 このページでは、大正初期に建っていた3、4、13、14及び15号棟については建物名称の頭に「旧」の文字を付して旧3、旧4、旧13、旧14及び旧15号棟と表記しています。
 ちなみに、旧15号棟は大正の末ごろには何らかの理由で建物がなくなっていて、昭和になってから日給の18・19号棟が上へ3層(7~9階)増築された際に、併せて、横(岩礁側・2号棟側)への延伸も行われ、元々、日給の7階床相当の高さがあった旧15号棟跡地に19号棟の7~9階延伸部分が増築されましたので、旧15号棟の後継となる建物は建てられていません。
 なお、18号棟の7~9階についても横(岩礁側・2号棟側)への延伸が行われていますが、旧15号棟跡地にかかっているかどうかは私には不明で、かかっているにしても僅かな部分ではないかと思っています。(図面に旧15号棟は描かれていませんが、日給の延伸については、<阿久井喜孝 他、『軍艦島実測調査資料集【追補版】』、東京電機大学出版局、1984、242頁>の「図版3-7」が参考となるかも知れません。)

写真《長崎港外三菱端島炭坑五階屋社宅》  <昔の絵葉書より 提供受絵葉書>
 大正初期の光景と思われる絵葉書です。
 中央の建物が旧14号棟で、絵葉書のタイトルでは「五階屋社宅」として紹介されています。また、左端が旧端島神社ですが、旧14号棟と旧端島神社の間の建物が旧15号棟となります。


写真絵葉書《長崎港外三菱端島炭坑五階屋社宅》の部分拡大
  <昔の絵葉書より 提供受絵葉書>

 上段の絵葉書から抜き出した光景です。左上に端島神社、中央の建物が旧15号棟(4階建)で、右端の建物が大正2年完成とされる旧14号棟(5階建)です。ちなみに、旧14号棟には、まだ、足場が組まれていますので、旧15号棟は旧14号棟よりも前からあった建物のようです。
 また、<『大阪朝日新聞』、大正5年4月10日、第12,289号「九州版」>には、30号棟の紹介記事の中に「此新建築物に止まらず舊建築に属する四階建(?)の職員共同生活所が設けられて居る」の記載がありますので、「(?)」の記載が気になりますが、旧15号棟は職員用住宅だったようです。


写真絵葉書《長崎港外三菱高島礦業所 端島坑 (九階建社宅方面)》の部分拡大
 右側から、旧13・旧14・旧15号棟、工事中の日給社宅と並んでいますが、当時の日給は、16・17号棟は9階迄が完成していますが、18号棟は6階迄で、19・20号棟は未着工の状態となっています。


〔 旧15号棟の取り壊し?について 〕

 以下の絵葉書や写真の説明から、旧15号棟は大正11~14年の間の何れかの時期に建物がなくなっていますが、その原因は、焼失なのか、老朽化なのか、それとも他の原因なのかは確認できていません。


〇大正11年以降撮影と思われる絵葉書

内容《 (長崎港外)端島十二階の全景 Junikai Hajima, Nagasaki. 》  <所有絵葉書>
  ※位置を示すために絵葉書に黄色の丸印を付しています。

 日給の19・20号棟が6階迄完成していますので、大正11年以降の撮影と思われますが、旧15号棟は黄色の丸印を付した箇所(旧14号棟の左隣)に写っています。

〇大正14年撮影と思われる写真

写真《 大正14年(1925)台風によりこわされた岸壁,後方の建物が当時の日給社宅 》
  <”はしま”閉山記念特集号より、編集者の許可を得て掲載>  ※位置を示すために写真に黄色の丸印を付しています。

 こちらの写真においても、旧14号棟の左隣に黄色の丸印を付していますが、そこには旧15号棟の姿はなく、旧15号棟の裏側にあった旧2号棟の姿が見えています。


〔 旧15号棟有無の比較図 〕

写真
<図版8-28~8-29は、阿久井喜孝 他 編著『軍艦島実測調査資料集』東京電機大学出版局(1984)より許諾を得て転載。また、旧13~15号棟関係について赤い文字及び赤い線で改変してます。>

 上段の図が旧15号棟が存在する頃の図で、下段の図が旧15号棟がなくなり日給の延伸があった後の図です。
 元々、18・19号棟は6階建てでしたが、上へ3層(7~9階)増築された際に、併せて、横(岩礁側・2号棟側)への延伸も行われ、日給の7階床相当の高さがあった旧15号棟跡地に19号棟7~9階の延伸部分が増築されたようで、その時期については、「高島炭砿史」や「三菱鉱業社史」では昭和3年で、「軍艦島実測調査資料集」では昭和7年となっています。
 なお、島は狭隘で土地を遊ばせておく余裕はなかったかと思いますので、旧15号棟がなくなってから19号棟7~9階の延伸部分が着工される迄の期間、旧15号棟跡地がどのような用途に使用されたのか大変気になるところです。


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