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伊能忠敬『測量日記』

九月四日

 晴天。同所に逗留して測る。六っ後
(午前6時過ぎ)に出立した。

(支隊)
 手分けの永井・今泉・箱田・甚七は香焼島属高島(高の文字の右横に鷹の字あり。以下同じ。長崎市高島町)を測る。北鼻の印より初めて、右山の方に測る。小浜。石炭堀りの小家が五軒。中山浦の印迄、沿海五町四十二間(621.82m)

 絶頂の遠見番所へ打ち上げる。横に二町二十四間
(261.82m)

 又、
印より初めて、沿海を測る。金堀崎。広磯浦。左に十町(1,091m)ばかり沖の羽島(端島)と中島(中ノ島)は一周四町ばかり(436m)と五町(545m)ばかり。(完成した伊能図では、端島と中ノ島の位置が逆になっている)御料所と佐嘉領の争論のある島なので遠測する。舟中で昼休み。

 字広磯崎で両手が合流して測る。沿海一十一町三間四尺
(1,206.67m)。高島は合計半測一十六町四十五間四尺(1,828.48m)。高島属上二子島は一周四町五十八間四尺(543.03m)。上二子島より瀬戸巾八十間(145m)ばかり離れて、下二子島は一周四町(436m)ばかり。御料所と佐嘉領の争論のある島なので遠測する。

 大篭村持ち横島。測遠の旗より初めて、西鼻の瀬続きを片打ちで横に一町一十五間
(136.36m)。東鼻の瀬続きを片打ちで横に一町四十二間(185.45m)。横島は一周二町五十四間五尺(317.88m)。島の合計二十四町三十九間一尺(2,686.39m)。横物五町二十一間(583.64m)。惣測三十町一尺(3,273.03m)


(本隊)
 門谷・尾形・保木・佐助は彼杵郡佐嘉領の蚊焼村属高島を測る。印より手分けして、左山の方に測る。高島は人家四十軒ばかり。宮崎鼻の印迄、九町(981.82m)。この宮崎鼻を回って印に繋げる。横に三町一十間四尺(346.67m)。広磯崎で両手は合流して測る。沿海八町二間(876.36m)

 高島は合計半測十七町二間(1,858.18m)。高島は両手での全周三十三町四十七間四尺(3,686.67m)。蚊焼村持ち飛島は一周四町五間(445.45m)。同村持ち野島は一周六町五十九間(761.82m)。同村持ち黒島は一周四町五間五尺(446.97m)。同村持ちホゲ島は一周三町三十九間(398.18m)。右の島々に人家はない。総測一里三町一間二尺(4,256.97m)

 八っ半時後(午後3時過ぎ)、別手は七っ時前(午後4時前)に宿へ帰る。この夜は星を測る。


背景の地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものです。
※国土地理院承認番号 平14総複、第253号 平成14年10月9日