伊能忠敬『測量日記』
十二月十二日
曇天で雪に雨が交じる。
形上村枝尾戸を出立した。同村字ヌギノ浦のの印より初める。字古泊。前島は周囲二町半ばかり(273mほど)で遠測する。瀬戸巾を取り三十間(55m)。小瀬の周囲十五間ばかり(27mほど)を遠測する。出口浦に居印を残す。沿海一十五町四十五間(1,718m)。
居印より居島(西海市西彼町・湯島)に至る。瀬戸巾は二十一間(38m)。居島は一周一十八町三十三間二尺(2,024m)。居島より小島の大に渡る。瀬戸の巾五十四間(98m)。小島の大は一周六町四十六間(738m)。居島より小島の小へ渡る。瀬戸の巾六十間(109m)。小島の小は一周三町一十二間(349m)。小島の小より小島の大に至る。瀬戸の巾四十間一尺(73m)。居島より焼島に至る。瀬戸の巾三十間(55m)。焼島は一周五町五十間(636m)。
又、地方の居印より初める。甲印を残す。沿海二町四十四間(298m)。小島の大へ渡ることにする。瀬戸の巾六間(11m)。又、甲印より初める。沿海を測り丙印を残す。一町四十二間(185m)。丙印よりイガ島に至る。瀬戸の巾九間(16m)。イガ島は一周一町五十三間三尺(206m)。又、丙印より初め、沿海を測り丁印を残す。一町三間(115m)。
山越えして横切り裏海の枝尾戸の内、字猪ノ越(猪越)へ出る。当九日に残した尾印に繋げる。横切り七町三間(769m)。
又、丁の印より初める。枝元越の内、字山伏浦。百姓の喜兵治宅で昼休み。
字文珠鼻。形上と大串の村界で打ち止めて終る。沿海一十二町三十三間(1,369m)。沿海三十三町四十七間(3,685m)。〆外の合計四町一十間一尺(455m)。島と横切り共一里七町一十七間五尺(4,723m)。総測二里九町一十五間(8,864m)。
外に遠測。天狗島の周囲二町(218m)ばかり。前島(前の島)の周囲二町半(273m)ばかり。属小の周囲一十五間(27m)ばかり。赤瀬の周囲五十間(91m)ばかり。末島の周囲二町半(273m)ばかり。属小の周囲一十五間(27m)ばかり。小島の周囲三十間(55m)ばかり。布瀬の大の周囲五十間(91m)ばかり。布瀬の小は一十五間(27m)ばかり。即ち見切りで遠測した島である。
大串村枝亀ノ浦(西海市西彼町亀浦郷亀浦)へ七っ半頃(午後4時頃)に着く。止宿は地役人の石橋十右衛門宅、酒屋福田伝蔵宅。
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背景の地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものです。
※国土地理院承認番号 平14総複、第253号 平成14年10月9日 |