○端 島 炭
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《選炭工場別原炭品位と出炭品位,保留の推移(昭和27年以降)》
炭砿 | 選炭 工場 | 昭和27年度 | 32年度 |
37年度 |
42年度 |
47年度 |
品 位 | 保留 (%) |
品 位 | 保留 (%) |
品 位 | 保留 (%) |
品 位 | 保留 (%) |
品 位 | 保留 (%) |
原 炭 | 出炭 |
原 炭 | 出 炭 |
原 炭 | 出 炭 |
原 炭 | 出 炭 |
原 炭 | 出 炭 |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
ash (%) | Cal |
高島 | 二子 |
20.1 | 6,450 | 9.1 | 7,550 | 82.9 |
25.0 | 5,980 | 10.5 | 7,390 | 77.4 |
30.6 | 5,440 | 10.9 | 7,250 | 68.6 |
32.5 | 5,330 | 11.6 | 7,270 | 67.8 |
35.3 | 5,090 | 12.5 | 7,210 | 67.3 |
端島 |
20.3 | 6,580 | 8.1 | 7,780 | 82.8 |
32.6 | 5,340 | 8.4 | 7,770 | 65.1 |
22.1 | 6,390 | 6.6 | 7,960 | 79.4 |
24.9 | 6,280 | 6.1 | 8,050 | 73.9 |
17.2 | 6,880 | 6.5 | 7,910 | 85.2 |
<三菱鉱業セメント(株)総務部社史編纂室、『三菱鉱業社史』、三菱鉱業セメント(株)、昭和51年、772・773頁>より 三菱鉱業社史掲載の表では、高島の他、崎戸、新入、方城、飯塚、上山田、鯰田、勝田、古賀山、美唄、茶志内、芦別、大夕張、南大夕張及び油戸の三菱各炭砿における一覧表となっています。出炭のCalにおいては昭和47年度最高位の南大夕張(8,080Cal)に次ぐ以外は、端島炭は全ての調査年度において最高位の成績にあり昭和42年度には8,000Calを超えて8,050Calを記録していて、<三菱鉱業セメント(株)高島炭砿史編纂委員会、『高島炭砿史』、341頁>にも「灰分,硫黄分の少ない高級原料炭で,その評価は大夕張炭,高島炭に勝り本邦第一であった。」の記載もあります。
なお、8,000Calの言葉は端島島民が誇る事柄の一つだったようで、私も父親からよく聞かされていました。また、<『家の光(第三十巻第八号)』、家の光協会、昭和29年7月1日、21頁>に掲載されている貯炭場を写した写真の説明にも「この石炭は熱量八千カロリーという良質なもの。」や、<『長崎新聞(第9816号)』、長崎新聞社、昭和49年1月16日、9面>の「高島砿業所端島砿閉山式」の記事にも「産出炭は八千カロリーの高粘結炭。」の記載があり、長きにわたり誇れる事項だったようです。
《昭和23年12月二子,端島両坑の合計送炭計画》
炭 種 | 地域 | 数量(t) | 揚地 | 産業部門 |
原
料
炭 | 九州 | 8,700 | 黒崎 | コークス |
中国 | 800 | 阿賀 | ガス |
四国 | 1,300 | 新居浜 | 硫安 |
近畿 | 9,000 | 大阪 | ガス |
東海 | 2,000 | 名古屋 | ガス |
関東 | 2,600 | 京浜 | ガス |
小計 | 24,400 | | |
塊 炭 | 近畿 | 1,700 | 大阪 | ガス |
関東 | 1,300 | 京浜 | 進駐軍用 |
小計 | 3,000 | | |
二
号
炭 | 九州 | 241 | 長崎 | 造船 |
500 | 長崎 | 水産 |
359 | 長崎 | 船舶 |
100 | 佐世保 | 造船 |
四国 | 550 | 直島 | 精錬 |
小計 | 1,750 | | |
微
粉 | 九州 | 149 | 長崎 | コークス |
45 | 小佐々 | コ-クス |
36 | 松島 | コークス |
70 | 板ノ浦 | コークス |
100 | 若松 | - |
小計 | 400 | | |
合計 | 29,550 | | |
<三菱鉱業セメント(株)高島炭砿史編纂委員会、『高島炭砿史』、三菱鉱業セメント(株)、1989年、317頁>に掲載の「第18表 昭和23年12月二子,端島両坑の合計送炭計画」のデータを加工して作成
昭和23年のデータであり、また、二子(高島)との合算の数字ではありますが、端島坑にて出炭された石炭の流れに、大きな違いはないかと思い、掲載させていただいてます。
ちなみに、<三菱鉱業セメント(株)高島炭砿史編纂委員会、『高島炭砿史』、三菱鉱業セメント(株)、1989年、400頁>には「高島炭,端島炭は灰分および硫黄分が低く,また外国炭との配合の際極めて相性が良く,世界でも例の少ない高流動性原料炭であった。特に端島炭は,鋳物用コークス原料炭として,三菱化成,大阪ガス,東邦ガスその他の鋳物コークス製造会社から最良のベース炭として珍重がられた。」との記載があって、『主婦の友・昭和31年3月号』[(株)主婦の友社]には「端島の炭の大部分は、東京ガス、大阪ガスに送られて燃料ガスになる。また、石炭化学の名のとおり、薬品その他の原料になっている。」の記載があります。