○高島建物事情

*本HPの写真・図版等の転載・転用等を固く禁止します。

写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>

 昭和50年1月2日撮影の写真から、高島の部分を切り抜きました。閉山前ですので、多くの建物が見えます。


《 社宅関係一覧 》

『現勢要覧』西彼杵郡高島町
(昭和23年11月7日)
『三菱高島炭砿労働組合 三十年史』(昭和52年3月発行)
二子社宅459戸二子地区231戸15棟大3~9建設
光町社宅158戸光町地区351戸42棟昭和22~43建設 戸数及び棟数には「新和寮」は含まれていません。
金堀社宅45戸    
仲山社宅172戸    
日吉岡社宅376戸日吉丘地区355戸66棟大10~昭18建設 昭50廃棟
本村259戸    
尾浜社宅218戸高島・尾浜地区446戸6棟昭26~41建設
百間社宅99戸
  蛎瀬地区434戸20棟昭27~43建設
  緑ケ丘地区512戸13棟昭34~44建設
  山手地区414戸25棟昭24~43建設

 「現勢要覧」(昭和23年)と「三菱高島炭砿労働組合 三十年史」(昭和52年)に記載されている建物情報を区分に合わせて掲載し、比較してみました。
 島の外海側の蛎瀬地区、緑ヶ丘地区、山手地区には、昭和20年代前半までは住宅がなかったようですが、人口が増えた為でしょうか。昭和20年代中頃以降は、強風が当たると思われる外海側にも建物を造る必要が生じたようで、それまでは、二子に一番多くの戸数がありましたが、その後は、蛎瀬地区、緑ヶ丘地区、山手地区が住居の中心となるようです。
 ちなみに、「三菱高島炭砿労働組合 三十年史」では一般従業員用社宅のみを記載しているためでしょうか?、金堀・仲山の職員用社宅や本村の民間住居棟等の記載がありません。


《 社宅地区別詳細 》

 <『三菱高島炭砿労働組合 三十年史』、三菱高島炭砿労働組合、昭和五十二年三月発行>のデータと<国土地理院ウェブサイト>の写真並びに絵葉書等にて作成してみました。よろしかったらご覧願います。

二子地区
各棟舎区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
備  考
写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
1区1号~2号
T. 5.12
自己資金
2棟6戸
木造建
3区1号
T. 3.12
1〃5〃
〃2号~6号
T. 5.12
5〃32〃
赤レンガ建
4区4号~6号
T. 5.12
3〃78〃
〃昭和に改善
〃7号
T. 8.12
1〃26〃
    〃
〃8号
T. 5.12
〃9号~10号
T. 8. 7
2〃38戸
〃11号
T. 9. 5
1〃20〃
3階建
231戸
・4区8~10号 S. 年に廃棟
・4区4~7号各3階建に改善
・二子地区全棟廃棟とし一時下請業者入居後選炭場となる。

以下、大正6年の工事情報です。
名  称二子鑛夫社宅増設費
「大正六年度各炭坑起業費」では「二子鑛夫社宅増設費」として、「二子海岸石垣築造外竣工」では「二子ノ部」の「鑛夫社宅増設費」として記載があります。
起業費32,000.00円
<三菱社誌刊行会、『三菱社誌 二十六』、財団法人 東京大学出版会、昭和五十五年復刊、3352~3356頁>に記載がある「社誌第二十三巻 大正五年 十二月二十五日 大正六年度各炭坑起業費」より
竣工年月日大正6年12月31日
<三菱社誌刊行会、『三菱社誌 二十七』、財団法人 東京大学出版会、昭和五十五年復刊、3774~3777頁>に記載の「社誌第二十四巻 大正六年 六月三日 二子海岸石垣築造外竣工」より
決算金額37,049,94円

写真《長崎港外三菱下双子島ヨリ高島炭坑ヲ望ム》
  <昔の絵葉書より  2007.12提供受>

 二子島と高島本島の連絡用築堤は工事中のようですので、大正7~9年頃の光景かと思いますが、双子島には社宅らしき建物が数多く見えます。

写真《2007年撮影 下双子島ヨリ高島本島ヲ望ム》
 上双子島、下双子島と高島本島が陸続きとなっている現在の姿です。時代の隔たりを感じます。

写真《長崎港外三菱高島礦業所 二子坑》
  (煽風器室及びコンクリート社宅方面)  <所有絵葉書>

 写真右下の施設が煽風器室で、写真左側の屋上が平らな建物がコンクリート社宅でしょうか。
 これとほぼ同じアングルの写真が、<『石炭時報』、第2巻第9号、1927年(昭和二年)>に掲載されていて、写真の説明には「鑛夫数(稼働者約九百人、家族数千二百七拾人)、鑛夫住宅(コンクリート三階建十一棟、木造瓦葺三階建二棟、木造瓦葺二階建廿八棟)」の記載があります。

写真《長崎港外三菱高島礦業所 二子坑》の部分拡大
 コンクリート三階建が見えております。また、その奥の瓦葺の建物は三階建でしょうか?。

光町地区
各棟舎区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
備  考
写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
木造1~6号
S.22. 4
自己資金
6棟36戸
〃 7号
  22.11
1〃7〃
〃 8~13号
  22. 4
6〃37〃
〃 14号
  22.11
1〃6〃
〃 15~19号
  22. 4
5〃30〃
〃 20~22号
  24. 8
8〃18〃
〃 23号
  22.11
1〃6〃
〃 24~31号
  23. 4
8〃48〃
台風にて24,25号廃棟
Bアパート(鉄筋)
1〃24〃
光町アパート(〃)
  40. 4
1〃112〃
光町パネル
  43. 4
雇用促進事業団
3〃21〃
新和寮パネル
  43. 4
1〃6〃
第一六寮
   T.10
自己資金
S.24.9改善
第二六寮
   T.10
 〃
新和寮
S.34.10
・第十六、二十六寮に二子新立坑建設のためS.34.10月廃棟とした。








高島・尾浜地区
各棟舎区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
備  考
写真
尾浜地区
写真
高島(百万)地区

<出典:国土地理院ウェブサイト
 (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
尾浜東アパート
S.26.12
住宅供給公社
1棟30戸
5階建
〃 西アパート
 〃
〃 4号アパート
  41. 1
産業労働者住宅融資
1棟64戸
8階建
高島1号アパート
  38. 2
厚生年金還元融資
1〃112戸
7 〃
〃 2号  〃
  39. 6
産業労働者融資住宅
1〃98戸
 〃
〃 3号  〃
  41. 7
1〃112戸
8階建

百万木造1~5号
T. 9. 1
自己資金
  〃 6~8号
S. 4. 2
  〃 10号
T. 5. 2
  〃 11~13号
S. 4. 2
  〃 14~16号
S. 5. 3
  〃 17〃19号
T.10. 5
  〃 20号
S. 6.12
  〃 21号
T. 8. 3
  〃 22~25号
S.17. 2
  〃 26~27号
S.14. 2
  〃 28~29号
S.24.10
  〃 30号
S.25. 1
・高島1~3号アパート建設のためS.36~9年に木造社宅廃棟
・高島町保育所建設のため木造社宅撤廃し保育所新設
・4号アパート建設地はT.8.11.建設の百万寮で、その後S.25.9改善
写真《 (長崎港外)高島百間崎坑夫社宅全景 Collier's Home of Firm, Hyakkenzaki, Takashima Nagasaki. 》  <所有絵葉書>
 たくさんの坑夫社宅が並んでいます。おそらく大正後半の頃の撮影と思われますので、百間崎坑は廃坑(明治22年開坑で明治32年9月14日廃坑<『高島炭砿史』、頁数515・516>)となった後の光景のようです。
 ちなみに、左上の煙突周辺には蒸気が立ち昇る箇所がありますが、もしかしたら、百間崎製塩工場の建物になるのでしょうか?。また、右下の場所は坑木置き場となっているようです。

日吉岡地区
町  名
社宅区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
恵美須町
1号~8号迄
大正10年 1月
自己資金
48
9号~14号迄
昭和13年 3月
36
幸  町
1号~8号迄
大正10年 1月
42
9号~13号迄
昭和13年 3月
36
大 黒 町
1号~7号迄
〃 13年 3月
42
8号~11号迄
〃 14年 3月
24
12号~13号迄
〃 17年 2月
8
寿  町
1号~5号迄
〃 14年 3月
24
6号~16号迄
〃 15年 7月
52
栄  町
1号~7号迄
〃 17年 2月
37
8号~10号迄
〃 18年 8月
6
・S.48年合理化によりその他の地区に集約
・S.50.  全棟廃棟





写真《 (長崎港外)高島坑夫新社宅 The New Collier's Home of Firm, Takashima, Nagasaki. 》  <所有絵葉書>
 小島から、対岸右側の本町と左側の日吉岡を望む光景で、日吉岡の建物を「高島坑夫新社宅」と紹介した大正時代の絵葉書と考えています。なお、大正時代としたのは下記の理由からです。
  • 日吉岡地区における最初の社宅は大正10年1月建設となっていること
  • 絵葉書のタイトルには「新社宅」の言葉があり社宅建設からそんなに時間が経過していないと思われること。
  • 絵葉書には風景印が押されていて「13.6.16」の日付らしき数字があり他の同様の絵葉書でも確認したところ、年代判定が可能な絵葉書では大正後期頃の光景と思われたことから「13.6.16」は大正時代の日付を示していると思われること。
  • 大正10年1月時点では社宅16棟(恵美須町1~8号、幸町1~8号)と思われますが、絵葉書を拡大してみると社宅らしき建物は21棟あるようで、大正10年1月から少し時間をおいての撮影と思われること。
  • 大正10年1月の次の建設は昭和13年3月となっていて、その間における撮影の可能性もありますが、風景印の日付らしき数字に重点をおいて大正時代の光景といたしました。

蛎瀬地区
各棟舎区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
備  考
写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
1号アパート
S.27 . 1
雇用促進事業団
1棟30戸
5階建
2~5号アパート
  28. 8
4〃96〃
4階建
6号アパート
  29. 5
1〃24〃
 〃
7号 〃
  29.11
 〃
8号 〃
  30. 1
 〃
9~13号 〃
  31.12
産業労働者住宅資金
5棟120戸
 〃
14~17号 〃
  32. 6
4〃96戸
 〃
蛎瀬パネル
  43. 1
雇用促進事業団
3〃20〃
(A.B.C)
・2号~6号S.48合理化時より下請業者入居  ・8号も左に同じ  ・9号も左に同じ
・16号は一般退職者町関係入居
・B.Cパネル一般退職者、下請業者入居


山手地区
各棟舎区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
備  考
写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
18~22号
S.33. 4
産業労働者住宅融資
5棟 96戸
23~24号
日本住宅公団
2棟 48戸
25~28号
  34. 6
産業労働者住宅融資
4〃144戸
41号
  36.11
住宅地区改良資金
1〃 48戸
木造1~5号
  24. 1
自己資金
5〃 33戸
   6号
  26. 1
1〃 6戸
   7号
  28. 1
1〃 6戸
   8号
  29. 1
1〃 3戸
パネル D~G
  43. 1
雇用促進事業団
5〃 30戸
・18~24号(4階建) S.48合理化により2戸貸制度実施
・25~28号・41号は9階建、木造は合理化により下請業者使用
・パネルは臨時員及び一般退職者入居




緑ケ丘地区
各棟舎区分
建設年月日
資 金 別
戸 数
備  考
写真
<出典:国土地理院ウェブサイト (http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1045033)
1975/01/02(昭50)撮影写真から該当箇所周辺の部分拡大を作成>
29~30号
S.34. 6
産業労働者住宅融資
2棟 72戸
6階建
31~33号
  35. 7
3〃108戸
 〃
34~37号
4〃144戸
 〃 (三間社宅)
38~40号
  36.8
3〃108戸
 〃
改良アパート
  44.10
住宅地区改良資金
1〃 80戸
8階建
・改良アパートはS.51.6町に返還











《 各地区社宅入居・転居資格基準 》

写真 <三菱高島炭砿労働組合資料より>
 左表は三菱高島炭砿労働組合資料にある「社宅入居基準」に記載されている表を書き写したものです。なお、「社宅入居基準」には表以外にもたくさんの基準が記載されています。


《 プロパン支給協定 》

 三菱鉱業所株式会社高島砿業所と高島砿業所労働組合とが、昭和40年12月10日に取り交わした「ガラ・マキ」のプロパンガスへの切り替えに関し協定した内容から主な点を以下に記載させていただきます。
  • プロパンガスは年間4本(10Kボンベ)、1本当り各人負担100円にて配給する。
  • 電力基準は年間平均115KWHまで無料とし、これを越える使用料に対し1KWH当り5円の特別料金を徴収する。
  • ガラの配給は全廃する。
  • プロパン切替者の家庭用電力基準

    月別10月11月12月1月2月3月4月5月6月7月8月9月
    使用基準量90KW100KW100KW160KW160KW160KW160KW90KW90KW90KW90KW90KW

     ちなみに、高島砿業所と高島炭砿労働組合とが、昭和32年9月28日に取り交わした「家庭用電力消費規制に関する協定書」の覚書や覚には、「電熱器使用」に関する記載もあり、プロパンガスへの切り替え以前には電熱器も使用されていたようです。


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